Mixture〜ナッシュ編〜 「うー…俺ってついてないよなぁ……うげぇ、気持ち悪……」 ナッシュは、にあてがわれている部屋のベッドに横になり、 額を押さえて、ともかく意識を気分の悪さから引き剥がそうと努力していた。 多分、食あたりだろうが…得体の知れないモノは口にすべきではないと、改めて思う。 それがたとえ、逃れられない上司の笑顔の下であろうとも。 医務室に駆け込んだ後、結局ベッドの都合もあって…というか、 トウタとミオ助手のラヴっぷりから逃げて来たとも言うが、 薬を処方してもらって、さっさと別の部屋へと避難した。 「大丈夫?本当に運悪いよね、毎度の事ながら」 がトウタに処方してもらった胃薬と水を、ベッド上で呻いているナッシュに渡す。 必死なナッシュに対し、の方は至って普通――どころか、 笑いを噛み砕いているような表情。 長く一緒にいると、彼の不運さにも慣れが生じて、 大概の事には驚かなくなる。 「悪い…ありがとな。 はぁ……まったく…ササライ様ときたら…」 聞かれていないとなると、つい、自分の上司に対しての悪態も出てしまう。 普段以上に無茶苦茶言われているナッシュだからかもしれないが。 薬を水と共に胃に流し込み、グラスを渡したナッシュの視線が、 ふと、片づけをしているに固定される。 それに気づいたのか、彼女が彼の方を振り向いた。 「何?」 「いや…やっぱり、逆にツイてるのかと思ってさ」 額を押さえて苦笑いするナッシュに、思わずは口を開けて呆気にとられた。 「……ナナミ的料理を久々に食べて、どっかやられた? 頭打ったりはしてないよね」 昔、同盟軍リーダーの姉、ナナミの殺人的手料理を食べた事があるナッシュ。 彼から聞いたことがあるだけだったが、ともかく、状況は似たようなものだろう。 「あはは……あれは勘弁して欲しい……」 薬が大分効いてきたのか、乾いた笑いをこぼし、ナッシュは話を続ける。 「いや、さ…と二人っきりなんて…結構久しぶりな気がしてな」 「あー…そういえばそうだね。考えてみると、かなり長く一緒にいるよねぇ」 ナッシュの寝転がっているベッドに腰掛けると、 今までの事を思い出すかのように天井を見た。 「なのに最近、二人でゆっくりしたことがないと思ってだな……、 こうやって、倒れてツイてた、ってわけだ。分かったか、お姫様?」 ころん、と横向きになり、腰掛けていたを見上げ、ニッと笑う。 ……本当、相変わらずだ。 私がそれにどれだけ惑わされてきたか…知ってるだろうに。 けど、素直になんてなってやらない。 悔しいから。 「お姫様は余計!」 ピシッとナッシュの額にデコピンする。 彼が「いてっ」と小さく呻いた。 彼女は頬を膨らませて、そっぽを向いてしまう。 「あんまり、恥ずかしいこと言わないでよね。 …慣れてないんだから」 「おやおや、可愛げのあることで」 苦笑いしながら、デコピンされた額を、二度三度揉み解す。 彼女がいつまで経っても変わらないところ。 いいトコロなんだけども。 「なぁ、こっち向いてくれよ。折角二人きりなんだしさ」 少し渋ったが、は割合素直に向き合うことにした。 確かに折角の二人きりなのだから。 ベッドの上に、正座するかのように乗っかる。 「…ナッシュって、初対面から全然変わんないのね。 あ、勿論老けたけど」 にっこり笑いながら、思い切り毒を吐いているような。 「老けた、ねぇ……。渋くなった、って言ってくれ。 こう見えても結構気にしていたり」 苦笑いしつつも、ウィンクするナッシュ。 は慌てて手を振った。 「あはは、ゴメン。うん、渋くなって、カッコよくなったよ? ほんと。――私なんて、ずっと…変わんない、けど」 「だろ?」 一瞬にこりと笑ってから――彼女の言葉の意味を受け、 そっとの腕を掴む。 ピクッと、小さく震えた気がした。 「……気に…してる、のか?」 「だって…気持ち悪いとか、思わない?」 馬鹿な質問だったと、ナッシュは自身の迂闊さに心の中で舌打ちした。 気にしていないはずがない。 ずっと、自分と一緒にいれば尚のこと、 は己が<不老>であることを、まざまざと見せ付けられているのだから。 不安そうに見つめるの腕を思い切り引っ張り、自分のほうに引き寄せる。 彼女はいきなりのことに、抵抗らしい抵抗も出来ず、 ナッシュの胸にパタと倒れこんだ。 「きゃわっ! な、なに、ナッシュ!?」 顔を真っ赤にしながら、胸や腕から逃れようと暴れてみるものの、 男の腕力に敵うはずもなく。 ひとしきり暴れた後、無駄だと悟って大人しくなった。 彼はのその背中を、ポンポンと軽く叩く。 「こんなに可愛いのに、気持ち悪いなんて…思うか?」 「…お子様扱いなのがシャクに触るけど…でも、ありがと…」 きゅぅ、と彼の服を掴む。 安心する。 ナッシュは安心しきった彼女の顔を見て、苦笑いした。 お子様扱い……そういうつもりではなかったのだが。 の髪に、顔をすり寄せると、いつもの彼女の香りがふわりと漂った。 「…温かい、な…は……」 「ナッシュだって、温かいよ? 生きてるんだもん、当たり前」 直後、はナッシュに抱きついて――ダイスキ、と小さく呟いた。 本当に小さな声だったけれど、それは彼の耳を打ち抜いて。 「…あのな、こうやって男の胸にいてだな……そんな台詞を吐くとどうなるか、 わかってるのか……?」 苦笑いしながら、彼女の髪を優しくすいてやる。 一応、それなりに理性を保とうとしているらしい。 だが、は意にも介さず、離れもせずにくっついている。 分かっているのかいないのか。 ともかく、くっ付いているのだから、それなりの覚悟はあると見ていい。 何年も一緒にいると、なんとなくだが行動パターンが把握できるもんだ。 「一応、それなりには分かってるつもり」 「……誘ってるのか?」 「別に、誰もそんなこと言ってないけど」 悪戯っぽく微笑むは、ナッシュから見ると見た目年齢にそぐわず妖艶だ。 理性リミッター解除準備中………。 「…俺は何年一緒にいても、にやられっぱなしだな…」 そっと、耳たぶにキスをする。 くすぐったさに、彼女がもぞもぞと動く。 慌てて誤魔化そうにも、どうにも彼の方は止めるつもりはない様子。 止めようとした腕をやんわり退けると、もう一つキスを落とした。 「んー! エッチ、馬鹿、ヘンタイ…」 こうなると、主導権はにないと思っていい。 なんだかんだと、彼女を大人しくさせる術を、ナッシュは持っている。 「可愛いね〜、でもそう言われると萌えたり…」 「へ、ヘンタイ! やぁ…ダメッ……!」 首筋に吸い付いてくるナッシュに、なけなしの抵抗として、 彼の服を掴んで引っ張ってみるが、やはり無駄な抵抗以外の何物でもない。 の腕を掴んだ時――彼の目に映ったのは、彼女の持つ、真の紋章。 薄紫色をしているその姿を見て、彼はほぼ無意識に言葉を紡いでいた。 「なぁ…生きるって、なんだろうな?」 魂があること。 温もりがあること。 信念を持つこと。 どれも正解であり、かといってコレが生きることなのだと、そう言うことは出来ない。 の体を抱きしめながら、ナッシュは呟く。 それに、彼女は小さな声で答えた。 「人の生きる意味は、その人によって違うもの。 人一人が、その意味合いを一括りにするなんて、出来ないよ、きっと…」 「どんな堅固そうな幸福にも、死と破局がある……」 の顔を見ながら、ナッシュが呟く。 彼だからこその言葉なのかもしれない。 敵対する者と一人で戦い続けて――そして、結果をもたらした彼だからこそ。 平和な家庭にいたにも関わらず、それが一変して……、 落ち着くまでに、乗り越えてきたものなど数知れず。 から見れば、彼こそが<生>そのものを体感してきた人間だと思うが、 当人はそうは思わないのかもしれない。 「手の間からすり抜けていくモノを怖がらない人間なんていないよ。 崩れいく側面があるから、人は必死で生きようとする…んだと…私は思うけど」 微笑みながら、そう答えた。 生きることは泳ぐ事に似ていると、ナッシュが呟く。 確かにと、も頷いた。 生まれた瞬間から、絶えず泳ぐ事を強いられる。 生きれば生きるほど、泳がざるを得ないから、苦しむ。 ただし、それは何もない場合。 生きててよかったと思えるものや目的があれば――それを糧にして生きていける。 は真の紋章直下の眷族を持ち、<不老>だ。 けれど、ナッシュという存在に出会ったから……、 強く生きていこうと、そう決心した。 ナッシュもまた―― 「…と一緒に、今を生きたいと思う。 何もない人生じゃないって、思わせてくれるから。 苦しみが全てじゃないんだと教えてくれるから、さ」 ちょっとクサいか? と、いつもの明るい表情に戻り、の体を緩く抱き寄せた。 彼女もいつもの表情に戻り、「ううん」と明るい声を出す。 「カッコイイと思うよ。…嫁がいるとか嘘ついてる割には、 案外真面目なことも考えてるんだね。 それとも、私の知らない間に結婚でもした?」 くすくす笑いながら、ナッシュのほっぺたをつねる。 軽くだから、そう痛くはないはずだ。 「ははは…結婚ね〜。それはお前が一番よく知ってるだろ? …俺の目的は、だってこともさ」 つねられた手に振れ、彼女の顔に近づく。 はいきなり傍に寄られたので、慌てて少々身じろぎしたが、 彼は逃してはくれず、そっと、口唇に甘いキスを一つ落とした。 「…俺の、生きる目的……」 ナッシュは真剣な瞳を彼女にぶつけ、位置を逆転させて押し倒した状態にすると、 もう一度口唇を奪った。 はビクつきながらも、彼の首に腕を回して抱きしめる。 「んぅ……は……」 「……好きだ……」 口唇をゆっくり離して、首元に顔を寄せるとそのままキスを落とす。 の首筋や鎖骨に、赤い花が咲いた。 「だ、めぇ…痕、ついちゃ…んっ……」 抱きしめることしかできず、ぎゅっと背中に手を回した。 溢れそうになる気持ちを、抑えるように。 だが、にとってもナッシュにとっても、その行動は逆効果だったようで。 互いの温度を感じて、言葉が溢れた。 「私も、好き、だよ……」 「………」 熱いため息交じりのナッシュ。 服は乱れてはいないものの、息の上がったの姿は、 彼を煽るのに充分すぎる効果をもたらした。 「言ったな…知らないぞ……」 ベッドにを深く押し付け、首筋をまた襲う。 彼女は押さえつけられながら、軽く目を閉じた。 ナッシュの口唇の感覚が、よりリアルに伝わってくる。 シーツを掴んで、頑張って耐えることしか出来なくなっていた。 「んふ…あ…ナッシュの、ばかぁ…」 「…悪い……止まらない……っ」 キスをしながら、更に服を脱がせようと手をかける。 は流石に抵抗したが、ここまで来て抵抗しても意味を成さないと思ったか、 ナッシュの真剣な瞳に打たれたか、顔を赤くしながらぽぉっとしてしまった。 彼の指がのはだけた胸元を滑り、腰からゾクリとしたものが上がってくる。 「――」 甘く囁き―――突如として、全ての動きが止まった。 顔を引きつらせ、いきなり「うっ」と呻く。 首元に倒れて、動かなくなった。 はなんとなく嫌な予感がし、上に乗っかっているナッシュを横にどかすと、 少々揺さぶってみる。 「ナッシュ、どうしたの!?」 「……っ………」 「気分悪いの??」 優しく背中を撫でてやるの姿は、まるで若い母親のようだ。 「……気持ち悪……い………うげぇ……」 情けない声を出して、口元を押さえる。 はそれを見て、思わず「ナッシュ、ストップ!!!」と叫ぶと、 全力を持って彼をベッドからずりおろし、引きずってトイレへと放り込んだ。 個室の中で、ナッシュが酷く苦しげに呻いているのが分かった。 「……情緒もなにもあったもんじゃないわね、まったく…」 思わず深くため息をつく。 かつて、風来坊ビクトールをトイレに放り込んだ事もある。 放り込み人数が、これで二人になった。 ……変な力がついていそうでイヤだ。 「うっぐ……あの鍋のせいだ〜〜〜…とほほほ」 トイレの壁に片手を着き、もう片方の手で口元を押さえる。 こりゃ、もう一つ胃薬が必要か? 「災難だね…。フレイアさんは大丈夫かな…。 ナッシュはもう平気?それともまだ行く?? 薬ならいくらでもあるよ」 ちょっと楽しそうに言う。 なんだか、同盟軍の酒場にいるみたいで楽しいかもしれない。 「そういえば…あの子も食べてたな…うげぇ…うぅ、…手ぇ貸してくれ…」 トイレから出てきた彼は、目に涙をためながら、手を伸ばす。 「はいはい、出すなら、あっちね」 薬を飲ませ、トイレを示しながらそう言うに、ナッシュが寂しそうに呟いた。 「…なんだ、急に冷たくなりやがって…。さっきはベッドであんなに……」 「……ベッドで、ナニ?」 にっこり可愛げのある笑顔なのだが、どこかの誰かを連想させるような 真っ黒いものが後ろに漂っていて、思わず…… 「おおっ、こわっ……。俺のカミさんといい勝負だぜ」 なんて、思わず失言かましてしまった。 そのカミさん発言に、がピクリと動く。 「…カミさん、ねぇ」 ビキビキきているを察してか、薬が効いたか、 ともかく慌てて弁解をする。 「…ははは…い、い、今のはだなぁ…ジョークで…。 さっきも言っただろ!?ベッドでさぁ!」 何度も言ったとおり、とナッシュの付き合いは長い。 だから、結婚しているはずはないと、彼女自身知っている。 だが、そうであることと発言とはまた別物でして。 「ふんっ、口先だけならいくらでも言えるもんね! 未だに女の人に言い寄ってたりするの、知ってるんだから!」 もうナニがなんだか。 ともかく、の怒りの導火線に火をつけてしまったのは確実なようだ。 ナッシュは落ち着かせようとしているのだが―― 「ク、クリスのことか!?あれはササライ様の命令でだな………!」 それにしても、に情報筒抜けなのは誰のせいだ!と思つつ、 ふと、とあることが彼の脳裏をよぎった。 言葉が止まる。 「……ん? 命令にナンパは入ってなかったよな……」 言ってから、はっと口元を押さえ、恐る恐るを見る。 宙に投げ出した言葉は、戻ってくるはずもなく。 の導火線が、ジジジと燃えた音が聞こえたような気がした。 彼女は実に爽やかに、すっきりした表情で微笑んでいる。 「…さぁて、グレッグミンスターに帰りましょうかね。 大して荷物もないし…ビッキーに頼まなくちゃ」 「な、ちょ、ちょっと待ってくれ!違うんだ!」 聞く耳もたん!という勢いで歩いていくの後を、慌てて追いかける。 「違くない」 どきっぱりと言い放ち、いつもビッキーがいる鏡の前へと移動するが、 生憎彼女はそこにはいなかった。 出かけているのだろうか。 ナッシュはかなり焦った。 は、やるといったらやる。 ましてグレッグミンスターに帰るなんて、軽く言ったわけではない。 重々承知。 だからこそ、必死なのだ。 ―――そういうわけで、彼が取った行動は…… 「………うっ………」 ………非常に古風だった。 その場に突然座り込み、呻き出す。 まるでお約束のパターン。 「…あのね、さすがにソレは使い古しじゃない? それとも…本気???」 いつもであれば軽く受け流して放置するのだが、今回は少し事情が違っていた。 ――鍋。 あの、得体の知れない物体入りの鍋のせいで、 ナッシュの体調が芳しくないことを知っている。 少々疑いつつも、傍に寄ってみた。 すると――案の定、突然彼は立ち上がり、を胸に抱き寄せる。 「っわ!……やっぱしフェイクなワケ」 「古い手に引っかかったのは誰だ?」 ニヤリと笑い、胸の中にいるを見てホッとする。 彼女はぷぅっとむくれて、俯いた。 「…私です、はい。なによ…心配したのに……」 「はははっ、悪い悪い…。でもな、行かないで欲しいのは…本当なんだ…。 さっきのことは謝る…だから……」 微笑みながら、腕の中にいるの頭を撫でる。 不安そうなナッシュの表情に、彼女は仕方なくというか――惚れた弱みというか……、 大人しく撫でられていた。 「…今度はもう知らないからね。別に結婚してるわけじゃないんだし…」 「……結婚するか!」 「はぁ!?」 ニッコリ微笑み、の顎を上に持ち上げ、ん?と顔を覗く。 「ほ、本気!?」 いきなりのことに、頬を紅色に染めて驚いているに、 本気だと、肩をすくめてみせる。 まだ驚いている彼女を姫抱きし、ウィンクを一つ。 そこまで来ると、伊達に付き合ってきたわけではない。 本気か嘘か、分かろうというものだ。 色々頭の中を廻る。 不運極まりない男。 シーナほどではないが、浮気……しそうな点も多々ある。 見た目年齢が限りなく離れている。 じゃあ、断るか? というか、断れるのだろうか。 大体、好きだからこそ、くっついてきた。 初めは向こうがくっついてきたんだが、そのうち立場が逆転してて。 ――ならば、答えは決まっている。 「……よろしく、お願いします」 赤くなりながらも、頬に優しくキスをした。 くすぐったそうに微笑むナッシュ。 「ははっ、俺ってもしかしてツイてきたか? よし、教会は何処にする?グレッグミンスターは勘弁してくれよー」 「えー、なんでダメぇ?」 「……あそこは本当に勘弁してくれ」 の幼馴染の<英雄>やら、家の人間に知られようものなら、 生きて帰れる気がしない。 ナッシュは本気でそう思った。 じゃあここにする?と聞いてみようとして――ササライのチョッカイを考え、聞くのを止める。 ナッシュなら、多分イヤだと言うと思ったから。 「ん…ゼクセンとか」 「……まあ、とりあえず…気ままに行くか。な?」 六騎士と鉢合わせでもしようものなら、ナニを言われるか…… という事が頭にあったのは言うまでもなく。 今までも気ままだったのだから、それでいいかと思ったのだが…、 はどう思っているのか、少し不安ではあった。 だが、彼女はナッシュの不安をよそに、実に嬉しそうに笑った。 「了解しました、旦那様」 ぴっと敬礼の手の形を取り、クスクス笑う。 旦那と呼ばれると、ついに本当に所帯持ちになったという気がして、顔が緩む。 まだ結婚してないが、そう遠くない日にするのだから、まあ問題はないだろう。 「さて、行きますか。お姫様?」 「お姫様はヤメってば!」 笑いつつ、抱き上げているの口唇にキスを軽く落とし、 ナッシュはゆっくりと歩き出す。 外は快晴。 鍋のことを差し引いても、ナッシュにとってはいい記念日になった。 勿論、にとっても―――。 キャラ担当 ■ナッシュ=篠永 ■=水音 小説の手直しは水音です。 2002・10・26 後書き(対談) 一頁前へ back |