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突然オタコン。

 ちょいと某モノを見て書きたくなった突発。
 甘くないです。夢主の名前を意図的に省いたら、かくかくした文章になってしまった…。

(MGS/オタコン)
続き

「オタコンの好きなタイプって、なんか偏ってそう」
 コーヒーを両手に、何気なく言ってみる。
 片方のカップをオタコンに渡した。
 彼は苦笑を浮かべながらそれを受け取った。
「……い、いきなり凄い発言だね」
「なんとなく。この間日本の友人が送ってきたアニメ見て、ふと思ったの。オタコンの理想は、やっぱりアニメキャラなのかなあって。……そんな渋い顔しないでよ」
「いや、ごめん。まあ……恋愛に臆病なところは認めるけど、ね。偏ってるかどうかは、自分じゃちょっと分からないな。アニメに傾倒してるとはいえ、まさかそれを現実にはできないし」
「そりゃそうだよね」
 言ってコーヒーを口にする。
 うん、薄かった。
 オタコンも同じようにコーヒーを飲む。
 たん、と軽い音を立ててキーボードを打った。
「そういう君の好きなタイプは? やっぱりスネーク?」
「……それってタイプっていうか、完全に個人名だよね」
 呆れたように言う。
「違うのかい?」
「間違ってはないけど、でも、どっちかっていうと……」
「いうと?」
「学生時分の頃は、オタコンの方がタイプだったと思うよ。物静かで優しいっていうの?」
「じゃあ僕、今からアプローチしても遅くないかな」
 また冗談を、と笑いかける。
 返る瞳は優しげで、けれどどこか真実味を帯びていた。
「え、本気?」
「僕が君をとても気に入ってるのは間違いない、とだけ言っておくことにするよ」
 いつもと同じ笑顔なのに、なんだか照れくさくなる。
 指先でカップの縁をなぞり、息を吐く。
 オタコンが笑った。
「照れてる?」
「……ちょっと」
「ならよかった」
 全く脈なしだったら寂しいからね。言うオタコンは、なんだか物凄く大人に見えた。