何となくで、また書いてみたくなったポタポタ。
ワンコみたいな、接点があるようなないようなで、まあテケトーにやりたい。
お相手は記憶リドルで。
ワンコと一緒ならぬ、みたいな感じで↓
(日記といっしょ)
※まだリドルいません
魔法学校ホグワーツ。
イギリスに位置するその学校は、普通の人間にとっては全く縁がない。
その学校から『入学案内』の手紙が来たのは、もう数年前のことだ。
自室で、長期休みの宿題として出された課題に取りかかろうとしていると、
「マリア! ちょっと来て!」
階下から声がかかった。
返事をし、マリアは開いたばかりの羊皮紙を閉じた。
開け放した窓の外から、間延びしたさおだけ屋の商売アナウンスが流れてきていた。
マリアは日本人だ。
父親は普通のサラリーマンで、母親はバイトをしている主婦である。
その間に生まれたマリアは、ホグワーツから手紙が来るまで、自分に魔法力があるなど知らなかった。
というか、両親も知らなかった。
魔法界とやらがあることすら知らなかったので、初めは何事かと思ったものだ。
そんなマリアがホグワーツに通う許可を出してもらえたのは、ひとえに両親の面白い物好きが成せるわざだ。
ホグワーツでは、どういう引き合わせか、ハリーというある種の有名人と友達だ。
ハリーは魔法界では知らぬ人がいない、という勢いで有名。
しかしマリアは、そもそも非魔法族だったから、ハリーの存在すら知らなかった。
友達になるのに、有名性は関係ない。
ただ、彼の周囲にはいつも波乱がある。
起こる事件を省みると、自分は決して平穏な日々を送ってきた訳ではないと思う。
――まあ、日本で普通に学校行くのと比べちゃだめだよね。
リビングの扉を開けると、母親が待ちわびたとでも言う顔で、テーブルについていた。
紅茶を淹れて待っていたらしい。
マリアは向かい側に座りながら、テーブルの上にある物を見、首を傾げる。
それは一見すると、ただの薄い本みたいだ。
しかも、結構年期が入っているような。
「母さん、これどうしたの」
「それがね、贔屓にしてるアンティークショップのダンディーな店主さんが、珍しいものだって言うから、買ってきちゃったの、100円で」
いつからアンティークの店を贔屓にし出したんだとか、珍しいと言う割に100円(税込)で買ったのかよとか、突っ込みを入れたくなったが、あえて流した。
「で、これのどこに惹かれた訳」「だってマリア、ちょっと聞きなさいよ」
聞いてるよ。
「これ、文字を書くと英語が浮かんでくるのよ! もうファンタジー好きなお母さん大興奮!」
母の言葉に、マリアはしげしげとその本を見る。
革製の表紙。
ペラペラ中をめくるが、文字はない。
「母さん、文字なんて書いてないじゃん」
「そこが更に不思議な所よ! 書くと暫くして消えちゃうの!」
「……なんか、どこかで聞いたような、嫌な感じがするんだけど」
確か、ハリーに関わる話だ。
何気なく本の中裏表紙を見て、体が固まった。
……母さん、相変わらず訳の解らない運の持ち主で。
「カーサマ……これ、本じゃなくて日記だったりしない?」
「よく分かったわねえ。店主さんは、曰く付きの日記だって。確かに名前書いてあるものね! リドー? ルドー? そんな感じの人」
「……で、私にどうしろと」
「こっちが日本語でも、浮かぶ文字が英語なの。お母さんわかんない。だから教えてよ」
「……」
「お母さんこの日記が気に入ったの。言うこと聞かないと、今月はマリアの嫌いな料理のオンパレードで…」
「分かったよ」
ため息をつきつつ、本の適当な所を見開きにし、渡されたボールペンで文字を書く。
――こんつは。なんか書いて。
やる気なく書いてみる。
すると、今しがた書いた文字が、ぐずぐずと紙の中に吸い込まれるように消え、別の文字が浮かんできた。
――Hello.
返事がなけりゃよかったのに。
マリアは続ける。
――May I have your name?
――This is Riddle.
マリアは深々とため息をついて、
――I know.
書いた。