籠の中の鳥(前)


 目が覚めると見知らぬ部屋。
 マンションの一室という感じではないから、弘樹の部屋でも、要の部屋でも、優美の部屋でもない。

 研究室のようだが、かといって病院でもない。
 私は現状が判らず、しばしボーゼンとしていた。
「まてまて、頭を整理しよう、うん。」
 考えてみると、今日は朝から変なことが多かった。
 何故か科学庁の車が突っ込んでくるし(それは影守さんに助けてもらった)ナイトメアが2回も一斉に襲い掛かってくるし(1度目は速水さんと優美に助けてもらい、2度目は大塚君と深雪に助けてもらった)珍しく弘樹が起こしに来てくれなかったし…って、コレは関係ないか。
 とにかく、変に危険だったので、確か五十嵐さんに車で送ってもらってー、玄関の鍵を開けようとしたら呼び止められてー、科学庁の服着たおっさん達が―………ん?科学庁??

「ってことは、まさか…。」
 一瞬、自分の頭の中によぎったイヤーな考えに思わずぞっとする。
 今、自分がいるのは科学庁の内部で、それも、状態的には拉致監禁されてるかも。
「か、カバン!ケータイ!!」
 あるわけない。
「ドアはー!!」
 さすが科学庁。
 ブルージェネシスの中枢部。
 ドアもID認識か何かなのか、開かない。
「じゃあ、窓っ!」
 あるはずない…不健康だなぁ…じゃなくて。
「……お手上げ?」
 誰にともなく聞いてみる。
 しかも、多分、一歩外に出れば、ナイトメアの餌食。
 見張りか何かは知らないが、ご丁寧にいらっしゃる数匹のナイトメア。
 仕方なく今まで自分が寝ていたベッドに腰掛ける。
 かろうじて時計はしていて、今の時間はわかるが……十時三十分。
 さすがに丸一日寝ていたとは考えられないから、拉致された日の夜なのだろう。
「あながち手がないわけじゃあないんだよね…。」
 かなり手荒ではあるが。
「いっちょやってみますか。」
 うーんと伸びをして、気を楽にさせると、ドアに向かって力を放った――


 それより少し前、執務室。
「どういうつもりだ?」
 養父である御剣恭太郎に呼び出され、開口一番聞いた言葉はこれだった。
「どういうつもり?…それはこちらが聞きたいですね、お父さん。」
にっこりと微笑みながら発言する。
 だが、その微笑に何かを感じ取ったのか、急に態度を萎縮させる。
「貴方が不用意に彼女を襲わせるから、科学庁にまで連れて来なくてはならなくなったんじゃないですか…。」
「あのとか言う娘は、片山弘樹の仲間だろう!消しても問題はないはずだ、それに、お前の事も知っている!秘密を知りすぎているだろう!」
「お父さん。」
 笑顔のなくなった僕を見て押し黙る。
 なんという惰弱な人間なのだろう。
 さっさと殺してやりたいとさえ思ってしまう。
「彼女は僕が強くなる為に必要な人間なんですよ。勝手なことをされては困りますね。」
「どういう…意味だ…?」
「彼女のイデアからのエーテル量は、常人のそれとはかけ離れている。それは、僕の助けになるんですよ。」
 その言葉に顔をしかめる父。
「ならば、早く力を吸い取って消してしまえばいいだろう!」
 そう、さっさとそうすればいいのは判っている。
 なのに、それをしないのは――…多分…
「僕は無粋なやり方は好きではありません。それに――…」

 死んでもらっては困る、と、言おうとした瞬間――彼女がいる部屋の方で衝撃音が。

「な…なんだ、晃!どうしたんだ!?」
 やっぱり素直に大人しくしてはくれなかったか…と、思わず苦笑い。

「失礼しますよ、お父さん。どうやら僕の子猫が鳴いているようですから。」
「!??」

 そういって、父の執務室を後にした。

 まったく…僕の猫は悪戯が好きなようだ。







次は聖を書こう!と思ってネタが先に出てしまったので、結局晃をUP。なにしてるんだか、自分。
途中まで視点、途中から晃視点になってますが…大丈夫かな…(汗)
というより、んまあ文章の稚拙なこと!!(滝汗)
私の中の晃のイメージって、こういう人なんですよ。
素直じゃない、熱い男。影守さんじゃないの、それ、と自分で突っ込みを入れたくなる。
欲しいものは欲しい、だから手に入れる、みたいな感じで。
欲しいとは自覚しても、好きとは自覚しない。所詮タナトス(爆死)
とりあえずは、続き物です…っていっても、次で終わりですが。
さん、がんばって逃げて下さいね(笑)

2001/5/31

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