消える時間






消える瞬間を 見た。


大切なあの人の 消滅の瞬間を。



「御剣さん………。」

姿なく、今や服だけになったその人の名を呼ぶ。
近寄って服を手に取ると…まだ、暖かい温もりが感じられた。

泣くつもりなど更々なかったのだけれど、心を如実に表して涙は勝手に零れる。

きっと御剣さんがこの場にいたら

『何故、泣く必要があるんだい?』

なんていうのだろう、彼は。


弘樹と、弘一兄ちゃんにサヨナラをして、私もここで眠ろう。
貴方がいなくなった後の世界は、とても色あせて見えて、寂しくて、寒いから。

助ける事はできなかったんだろうか。
彼に何かできることは―――きっと、たくさんあったのだろうに。

せめて、最後の瞬間まで貴方を想わせて。
貴方と一緒の場所へ行けると信じて。



それが、私の最後の


『信じる力』







×××

短い上に暗くて申し訳ない……;;
ダーク系の唄を延々と聞いていて振ってわいたお話です。
お話としては、前の晃様創作の『瞬』と『thanatos』のバッドSSという感じで。
本来なら消える存在なのでこっちが本元かもしれないですが……;;
なに書きたいんだか解らん状態に(汗)
消化不良気味の一品。
しかも…女主、名前出てこないですね…スミマセン〜(汗)
あと、消滅したら服も消えるじゃん、なんていう鋭い方、さらっと流してくださいますよう…。

2001/10/30

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