Deep place of black





 ゆっくりと
 貴方という闇に のまれていく
 心を 痛みと 悦びが 満たす
 判っているのに 求めてしまう
 求めては いけないのに


 中庭のすみの方にある石段に座っていた。
 学生の笑い声を鬱陶しく感じながら、は昼のけだるい時間を過ごしていた。
 ある人物が現れるまでは―――。

「今日はお1人かな。」
 俯いていても声で判る。
 の心を喜びと不安が同時に支配した。
「…はい、1人です……御剣さん。」
 返事を返して暫くしてから、顔を上げて晃の顔を見る。
 晃は微笑むと、の隣に腰を下ろした。
「元気がないね……。」
「……いえ、そんな事は……。」
 視線を合わせないようにしているの頬に手を触れ、耳たぶを指でくすぐってやる。
 びくん、と、過剰すぎる反応が返ってきて、晃は口の端を上げた。
「そうかな……。」
い たぶるように、ゆっくりと頬から顎にかけて指でなぞる。
 泣きそうになりながら手で晃の胸を押して突っぱねるを抱きしめ、彼は耳元で囁いた。

「僕が欲しいのかい…?」
「…っ…勝手な…こと…!」
 しかし、晃には判っていた。
 自分の欠けたピースの内の1つであるが、なにを欲しているかを。

 は、晃に自分の気持ちが見透かされている気分で、彼を見つめた。
 自分の心と向き合うのが怖い。
 戻れなくなる事を…知っているから。

 ――あってはならない事だが、は晃を欲しているのだ。
 全身全霊を賭けて。
 好きになってしまった。
 大切な人を奪った相手なのに、心を飲まれてしまった。
 毎日、相反する心と葛藤しているに、今のこの晃の行動は彼女の理性を崩すのには充分だった。

「僕は君が欲しいよ………。」
「やめ…て…っ!」

 じっと目を見つめ、の最後の正義を突き崩すための、一言を吐いた。

「……を愛しているよ……一緒にいよう……。」

 その一言で、は闇へと堕ちた――


 暫くしてナビと弘樹が2人を見つけた時には、全てが遅かった。

 は晃に抱きつき、彼以外をその目に映さない。
 晃は勝ち誇ったように笑みを深め、の口唇を奪った。


 わかっていて―…求めた。
 晃という闇に堕ちた。
 今度は、闇の中から私が叫ぶ番。
 大切だった弘樹に告げよう。




 私を消して……って。








--------------------------------------------------------------------------------

暗っ!!つーことで、久々…でもないけど、普通の後書きです(^^;
なんとなぁく、暗めな感じのが書いてみたくなって
書いてしまいましたが……ドリームでやるなよ、ってな内容に…どーん(暗)
なにやらよくわからない締め方になりましたが…うーん、
シリアスって難しい…
精進しないと!!(汗)
っていうか、微妙に晃様がエロっちい!!(大汗)
ちなみに、タイトルの英語は文法大間違いでしょう…theを入れるんだか
入れないんだか…

2001/7/9

←top