Sweet Inganity7 〜幕間〜




「何ではそう危ない事ばっかりするかな…」
 ため息をつきながら、マサヤは隣に座っているに、缶の炭酸オレンジを渡し、自分は缶コーヒーのプルタブを開けた。

 会議――というより状況の話し合いの後、アメリカFS(フィランソロピー)勢は、各々の役割分担を念頭に置き、必要なものや、この支部の設備の細かい所を、自分の目で見て回っていた。
 その間、とマサヤは休憩室で、久しぶりの再会を改めて味わっていた。
「何で危ない事するかって……別に危なくはないじゃない」
「相手はメタルギアの部品を作ってるかもしれないんだぞ? 何処が危なくないんだよ…」
 マサヤがブツブツ言いながら、コーヒーに口をつけた。
 ちょっとミルクと砂糖の味が強くて、甘ったるい感じがした。
「うーん…そう言われるとなんとなく居たたまれないんだけど」
 くすくす笑いながら、の方もジュースを飲む。
 ソファにゆっくりと腰を落ち着け、窓から外の景色を眺めた。
 高級ホテルで見る景色より、数段いい景色に見える気がする。
 ……気持ちの問題だろう。
「私が協力できる事だから、やるっていうのが理由かな」
 ぽつりと呟くように言うの言葉。
は……凄いな」
 呟く。
 彼女が凄いと心底思えるのは、協力できる事だからと簡単な言葉で、今の事象を表してしまえるからだ。

 アメリカでの<事件>の後、傷が治ったマサヤは直ぐに、FS日本支部へと足を向けた。
 日本のFSを見つけるのにも、かなり苦労した覚えがある。
 スネークやオタコンの活動というのは、草の根運動とはかけ離れている。
 そんな組織が広告を出しているわけがないし、教えてくれと問い合わせても、教えてくれもせず。
 それでもFSの活動をしようと思ったのは、のためであり、己自身のためでもあった。

 マサヤは、自分はお世辞にも正義感の強い人間でないと自負している。
 ではなぜ、世界規模で起こっている――しかも<トリプルA>を取得しそうな、狙われる危険度の高い組織に組しているか――。
 世界平和のためではない。
 家族を、友達を、自分の好きな人たちを守りたい。
 ただそれだけ。
 ひどく人間的で、ひどく個人的なマサヤの想い。
 スネークがもしそれを聞いたなら、
『それは間違った想いじゃない』
 そう告げただろうけれど。

 缶コーヒーに口をつけ、飲み干す。
 隣に居るは炭酸飲料を飲みながら、休憩室の窓から見える日本の空を眺めていた――。





約3ヶ月ぶりでしょうか…。割に更新したのが幕間っていう体たらく。申し訳ないです。
頑張ります…げふげふ;

2005・5・19

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