Aim 6



F・W(フェイト・ワークス)内部


「これから、お前を別の場所に連れて行く」
 事務的な声でそう告げ、F・W社長、ケイルが無理矢理にを立たせた。
 そんなに大柄でもなさそうな風体だったが、彼女の力では振り切れそうにない。
 痕が残るのではないかと思える程の、強い力。
「マサヤ、彼女の荷物を持ってこい」
「は、はい」
 ケイルと一緒に入ってきた正也が、の荷物を預かる形になる。
 一応中身はチェックされ、問題なさそうなものは後に彼女に渡す事になった。
 携帯は既に抜いて、正也が持っているから問題ない。
 引っ張られるようにして、廊下へと出る。
 が正也に、目で訴えかけると、彼は小さく頷いた。
 どうやら、スネークと連絡がとれたらしい。
「地下へ連れて行く。ダン、お前は……そうだな、例の実験室を見回っていろ。万が一という事も考えられる」
 ダニエルは心得た様子で、社長の先を歩いて地下へと歩みを進める。
 ケイルの言葉に、が少し肩を震わせた。
 社長は、スネークの存在を知っているのだろうか。
 どちらかというと、知っている可能性のほうが高いだろう。
 だからといって、どうとなるものではないのだが。
 正也はケイルに促され、をガードするような形で横に付き添い、歩き出した。

 1階で一度エレベータを降り、人目につかない場所にあるエレベータで、更に地下へと降りていく。
 表示がB1階を示した所で止まった。
 ……というより、このエレベータはB1Fまでしかないのだが。
 少し、冷たい空気がの肌に触れる。
 先導役のケイルが、の腕を強く引っ張った。
 彼女は痛みに顔をしかめ、腕を振り払おうとする。
「自分で歩けます」
「だが、逃げるかもしれない」
 足かせをつけている訳ではないからな、と、彼は再度腕をしっかりと掴んだ。
 エレベータを降りて直ぐ、1つ目のゲートが顔を見せた。
 正也もケイルも、IDカードで難なく進む。
 社長の権限でか、とりあえず問題なく進めた。
 ……そこで、正也は歩みを止められる。
「マサヤ、君はここまでだ」
「え……ですが……」
「ここまでだ」
 上へ上がれ、と強く言われ、従うしかなかった。
 が何処へ連れて行かれるか、しっかりと記憶しておきたかったのだが……。
 仕方なく一礼し、正也は上に戻った。
 彼が戻ったのを見届けると、ケイルはまた歩き出す。
 は無言で歩きながら、あちこちを見る。
 地下1階は、セキュリティ・レベルは余り高くないらしい。
 監視カメラの類はなく、許可されたなら一般人も見学できるようだ。
 チェックゲートに一般見学用の記入シートがあったから、間違いないだろう。
 ……見た限り、薬の研究施設として、きちんと機能している様子。
 自分は研究者ではないし、スネークのように博識ではないから、明確な事は判らないが、素人目にみても、研究しているというのは判る。
 見ながら逃げ出す隙を計っているが、なかなかそんなものは見つからない。
 長い廊下を歩き、再度チェックゲートを通る。
「……エリアB」
 プレートに書かれた表示を見て、そう呟く
「エリアBはごく小さな範囲だけだ。毒薬等、危険物の高い物が置かれている。それ故に、地下1階の責任者しか通過できないようになっている。私直属の部署の人間だけは、別格だが」
「……説明をどうもありがとうございます」
 ケイルに、一応お礼を言う。
 彼は、無表情で歩く。
「お前に話したところで、なんの不利益もないからな。所詮、ここから出られぬ身だ」
「…………」
 グイ、と腕を引っ張り、強制的に歩かせる。
 とケイルは、エレベータで更に地下へと降りた。
 地下2階に下りた途端、あの濃いグレー髪の、白衣の男が現れた。
 下卑た笑いを顔に張り付かせ、を興味深そうに見ている。
「Dr・スレイブ。今そちらに素材をお連れしようと思っていた」
「あぁ、どうも待ちきれずにね、来てしまった」
 ケイルの腕が離れ、スレイブの手がを掴む。
 ゾクリと、身の毛がよだつ思いがした。
 ……なんだか、気持悪い。
 大体、人を素材呼ばわりするような人達に、好感など持てるものか。
「直ぐに取り掛かって頂けるか?」
「勿論だ」
 ケイルに礼をし、今度はスレイブが連れて歩き出す。
 逃げ出せそうな風体だったが……、セキュリティIDがない。
 それは1階でもいえた事だが、正也がいれば逃げられた。
 今、味方は誰もいない。
 とにかく、少しでもマップを頭に叩き込んでおこうと、周りを目に焼き付けておく。
 ……しかし、先程の研究施設と違い、なにか……異様な感じがする。
 培養液のようなものが、ガラス越しにあちこち見えていたりして。
「あぁそうだ、1つ言っておくが……逃げようと思うな。逃がすつもりは毛頭ないが、地下2階からの研究者や職員は、銃を携帯しているからな」
「……な、なんで……?」
「ここからは機密性が高い施設や部署が多いんでね。秘密保持の為に、許可のない不審者は撃ち殺されても文句は言えない」
「………………」
 会社とはとてもいえないと、本気で思う
 まるで軍部かなにかのようで。
 フィランソロピー組織の、格納庫のようなものすらあったりする。
 黒服の男がうろついているし……。
 自分1人で逃げるには、ちょっと……いや、かなり困難だろう。
 その前に逃げ出せる状況であるか、というのが問題だが。
 迷路のような造りの内部を通り抜け、エリアAのゲートを通る。
「私を、どうするんですか」
「なに、研究させてもらうだけさ。お前さんの両親が作り上げた”モノ”をな」
 には、スレイブがなにを言っているのかは判らなかったが、自分になにかが関係しているのかと思うと、少し怖くなった。
 ―負けるな。
 そう自分に言い聞かせ、しっかり地に足をつけて歩く。
 とりあえず、今は生きているのだから、と。


うーん、まとまらず;;
意味不明な文章の羅列入ってしまってますね;;
絵とか図で出した方がしっかりマップわかるでしょうが(笑)
ちと短い……。
続きさくさく書きます…;;
スネーク名前しか出てこなかったですが、次も多分出てきません……。ごめんなさい;;

2002・5・31

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