aim 3 「あれ、スネーク……君一人かい?」 「あぁ、は日本の友人と会って話してる。もうそろそろ帰ってくるだろうがな」 タバコを片手に、オタコンの横に積んである書類に目を通す。 オタコンは、相変わらずモニタを見つめていたが、その内容はいつもと違い、メタルギアに関するものではないようだ。 スネークは、が正体不明の敵に襲われた際、襲ってきた黒服の中の一人が、持っていたスーツケースに、小さくロゴがついているのに気がついた。 今、それをオタコンに調べてもらっている最中だ。 「……判ったよ」 「どこの組織だ?」 モニタを見ると、FATE・WORKSとの表示が映されていた。 フェイト・ワークス。 大規模な薬品研究所を持ち、世界各国に子会社を持つ、総合商社。 エリート達の巣窟、と言われる会社だ。 「フェイト・ワークス……確か、前社長のカルド・ローダーは突然死……。息子のケイル・ローダーが後を継いだんだったな」 「彼はまだ24歳だけど、各方面で非凡な才能を見せてるみたいだね」 「裏もあるって話だけどな」 スネークとオタコンの聞き及ぶ限りでは、裏稼業にも手を出しているらしかった。 違法な人間クローンの作成、軍事介入、暗殺や拉致、 暗部のエキスパート養成……。 闇の組織としても、一部ではかなり有名だと聞いている。 「しかし……そんな会社が、になにを求める?」 の両親も、かなりの大企業経営者だった。 その社長と社長婦人を、秘密裏に抹殺してまで、娘を欲しがっているその理由が判らない。 殺した事が発覚すれば、窮地に立たされる事を知っていても、行動を起こした。 発覚しない自信があるのだろうが……。または、その筋に手を回しているか。 ニュースで流れた死因は、事故死。 手回しされていると思っていいだろう。 捜査官が、どうしようもなくマヌケな捜査をしなければ、の話だが。 「が持ってきたあのディスクが、全部教えてくれるような気がする」 「ディスクはどこへ?」 ここにある、と、オタコンは収納場所から取り出した。 「今、データをナオミに検証してもらってる」 二度目の目覚ましの音で、目が覚めた。 正也は、まだ眠っていたいと駄々をこねる体を、洗顔で無理矢理覚醒させる。 初出勤で、遅刻するわけにはいかない。 予定の時間より早く会社に着けるよう、朝食もそこそこに家を出た。 社についた正也は、自分の他に新人が数名しかいない事に気がついた。 新人は、各セクションの新人育成係に連れられ、待合室からどんどん退出していく。 だが、正也の担当は未だ現れない。 「……忘れられてるんじゃないだろうな……」 手近な椅子に座って、一息つく。 緊張感も、段々と薄れていった。 (……よくこんな大企業入れたな、俺……) と正也の通っていた高校は、かなり特殊で、高校3年になったその時から、国内外通じて就職が可能になる。 勿論、時期にならなければ求人を出さない社もあるし、この社のように、年に何度か求人がある場合もあり、色々ケースがあった。 アメリカのこの会社に出願したのは、本当にダメもとで、外国語(英語)が得意で、薬剤に興味があった、という軽い理由。 面接はなく、書類選考のみ。本当に、よく受かったものだ。 「……君が、マサヤ・サナダ?」 「あっ……はい!!」 ぼーっとしているうちに、担当が来たらしい。 慌てて立ち上がった。 「遅れてすまない。私は君の担当のダニエルだ。……早速だが、付いて来てもらおう」 「はい」 「失礼します」 (ここって……社長室……) 正也は、自分が何故ここに連れてこられたのか、皆目検討がつかない。 まだ、なにもミスしていないのに。 「社長、マサヤ・サナダをお連れしました」 「ああ、ご苦労」 「……」 社長が若い、という事は知っていたが、やはり目の前で見ると驚くものだ。 彼の持つ妙な威圧感は、背筋が寒くなる程。 ……普通ではない。 社長というのは、皆こうなのだろうか。 「私はケイル・ローダー。よろしく、マサヤ」 「は、はい……」 緊張の余り、声が上ずる。 「君の希望は……薬品研究だったね」 「はい、自分の研究ではなく、サポートを希望ですけど……」 「すまないが、本来の仕事の前に、協力して欲しい事があってね」 社長立っての頼みだ。断れば即、首が飛ぶに違いない。 正也は頷いた。 ケイルは、頷いたのを確認すると、話を続けた。 「・という女性を知っているかね?」 「!?」 一瞬、聞き違いかと思った。 どうして、世に名高き会社の社長時の口から、友人のの名が出て来るのだろう。 「はい、存じてます。一緒に勉強した仲ですから」 「君に折り入って頼みがある、彼女を連れてきて欲しい」 「彼女を……ですか?あの、どういった理由で――」 質問は許さない、という表情に、正也はそれ以上なにも言う事ができなくなり、口をつぐんだ。 「彼女は我が社にとって大切な人材なんだ。よろしく頼むよ」 「はい……」 正也はダニエルと一緒に、を社に連れてくる事になった。 彼女の所在を知っている訳ではなかったが、携帯に連絡すれば会える。 ふに落ちない感じを持ちつつも、社長勅命の仕事をこなす事を考えた。 「ねー、スネーク、マサヤと会ってきたいんだけど、いい?」 武器の調整をしていたスネークは、を見ずに手を振った。 ……ダメ、という事らしい。 「なんで?」 「自分の置かれた状況をいい加減判って欲しいんだがな。1人でフラフラできる立場か?お前は」 「だから、スネークについてきて欲しいなと……思って」 が両手を合わせてお願いする。 ここでダメと言えば、勝手に1人で出て行く可能性もある。 時間制限を設け、納得させた上で、同行する事にした。 約束の店には、先に正也が来ていた。 幾分か緊張した面持ちで、を迎える。 スネークは、一応店の外で待機していた。 正也がなにに対して緊張しているのか、スネークには判らなかったが、用心するに越した事はないと、周りに注意を払う。 の方は、緊張している事など、気付いていない様子で正也に話し掛けた。 「どうしたの?」 「実はさ、に頼みがあって」 「なに?できる事なら聞くよ?」 「両親へのプレゼント、一緒にに見立てて欲しくて」 こんな理由でごめん、と頭を掻く正也に、は微笑んだ。 「私でいいなら、一緒に見立てるね」 スネークに時間を制限されているから、そうそう長くはいられないのだが……。 少し、融通を利かせてもらってもいいだろう。 とりあえず、今の所危ない事はなさそうだし。 「じゃあ、時間ないから、早く行こう」 正也の言葉に同意し、立ち上がる。 スネークに目線を送り、店を出るよと合図をした。 まだ何処かへ行く素振りがあるので、もう少し付き合う事になるのかと、溜息をつく。 会計を奥のカウンターで済ませている間に、彼の後ろで喧嘩が起きた。 一瞬、その喧嘩を見て、から視線を外す。 ……男同士の喧嘩か。 通行人が、野次を飛ばしたり、止めようとしたり、悪戦苦闘している。 溜息をつき、視線を戻した。 「……!?」 目に飛び込んできた光景に、我が目を疑う。 「!!」 「…………!!」 スネークは慌てて小銃を取り出して、店の中を走る。 自分が一瞬目を離した隙に、彼女は裏口から黒服の男数人に連れ去られようとしていた。 裏口から姿を消したその数秒後に、スネークも裏口から外へ出る。 既に、は黒服たちの車に乗せられ、その車は猛然と走り出していた。 銃を撃ったが、防弾ガラスなのか傷つきもしない。 成す術なく、はスネークの目の前でさらわれた。 「クソ……!!」 自分が目を離した結果だ。誰が悪い訳でもない、自分のミス。 の……日本の友人は、これを知らなかったとでも言うのだろうか? ならば、何故奴等の車に乗っていた? 一緒に拉致された、という感じではなかった。 だとすれば……友人も黒服の仲間、と言う事になる。 「なんてこった……」 すぐにオタコンに連絡をとり、彼女を取り戻さなくてはいけない。 スネークは、走り出した。 中途半端な描写でスミマセンです。 私の技能なんてこんなもの……(泣) まだ続く……長いです、はい;; 一話一話が短いので、進みも遅くて。 ぐあー、努力します;; 2002・4・11 ブラウザback |