もうすぐ楽しい楽しい夏休み。 そう思えるのは、つい最近までだった。 でも…今はもう楽しみなんて、ない……。 ALONE トム・リドルは、寮へ帰る途中だった。 間もなく新学期へむけて長期休暇………夏休みが始まる。 彼は孤児院に帰る。 母は彼を産んですぐに亡くなり、父は母を捨ててどこかへと消えた。 「……………………?」 ふと。 彼は教室の前で足を止めた。 本来なら誰もいないはずである。だが、リドルは人影を見たような気がした。 (………………………………はぁ) 溜息が聞こえる。 教室をのぞくと、一人の女生徒がいた。 金色のキレイな長い髪のその女生徒を、リドルは知っていた。 寮は違うが、同じ学年の子で何度か授業が一緒になったことがある。 「何をしているんだい?早く自分の寮に帰った方が良い」 「えっ」 彼女はビックリして伏せていた顔を上げた。 蒼い瞳は涙で濡れていた。 「あ……トム・リドル…だっけ?スリザリンの」 「確か君は、だよね?」 はローブで涙をぬぐった。それでもの目からは涙が止まらない。 「一体どうしたんだい?」 彼女の様子を見て、リドルは訊いた。 「何でもないの…ただ………」 「ただ?」 オウム返しに言う。はいったん口を閉じて、静かに話した。 「帰るところ…なくなっちゃったなぁ、って。 さっきね、あたしの家が火事で焼けちゃって両親が死んだって 連絡がきたの。 どうしよう、マグルのお金はないし、親戚は遠くに住んでるし、当てが ないよ………」 そう言うと彼女はまた顔を伏せて泣き出した。 黒いローブは、涙の跡でいっぱいだ。 はイキナリ孤児になってしまった。リドルと同じ境遇に…。 「…?」 泣きじゃくるの髪に、ふわりと何かが乗った。 顔を上げると、リドルが自分に微笑みながら髪を撫でていた。 いつの間にか涙は止まり、気持ちも落ち着いていた。 「忘れちゃいけないよ、君は独りじゃないんだ」 そう言うと、彼はまた寮へ向かうために行ってしまった――――……。 ―君は独りじゃない― |
恐れ多くも初カキコでキリバンゲットという失礼極まりなかったにもかかわらず、
リク受けてくださった涼風聖さまからの頂き物、リドル夢です!
まさか本当に受けていただけるとは…リドルだし(汗)
涼風さま、優しいリドルをありがとうございましたv
2001/12/13