悟空と正月



「新年、明けましておめでとうございます」
「今年もよろしくおねげぇします」
 丁寧にお辞儀をし、が顔を上げると、悟空は既に目を爛々とさせていた。
 その視線の先にはおせちの重箱が。
 はぁ、と小さく息を吐き、重箱の蓋を開ける。
 五重になった重箱が三つ。
 これだけで普通は4人分位になりそうなものだが、悟空の胃袋にかかってはそれも軽食。
 しかもおせち料理は一つの品がそう多くもないので……結局普通のご飯も用意してあったりする。
 新年早々、やってる事は普段と変わらない。
 変わる事といえば、一日中悟空が修行に行かずに家にいるという事だろうか。

「うん、これうめぇなあ!」
 白米と一緒にあれこれ掻っ込んでいくため、これ、と言われてもどれだか分からない。
「落ち着いて食べなよ……って言っても今更かな」
 はゆっくり御雑煮を食べつつ苦笑いする。
 もち米がこの世界になかったらどうしようと最初は思ったものだが、基本的な食生活は一緒だったので安心した。
 流石にパオズ山現地調達食材では、到底おせちなど作れないが。

「そういや、ブルマ達はカメハウスに集まってるみてえだな」
 何気なく悟空が言う。
 もそれは知っていた。
 何かにつけて――というほどでもないが、集まりごとは大抵西の都のカプセルコーポレーションか、カメハウスでやる。
 悟空と結婚して1年目でまだドタバタしていて、とても集まりに参加できる状況ではなかったために、今回は誘いを蹴る形になってしまった。
 としてはブルマや皆に会いたかったけれど。
「仕方ないよ……私も直前まで仕事だったし」
 実際正当な理由である。
 彼はニンマリ笑い、黒豆を口に放り込んだ。
「ん……ま、オラはと2人っきりで嬉しいぞ」
「――――っ、と、あの……うん」

 実に平和な孫家の正月。





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