同級生 2 最初の授業が終わった後、は小さくため息をついた。 編入生としてやってきた彼に、どう対処すればいいのだろうか。 授業中、イレーザに何処に住んでいるのかと質問された編入生の悟飯は、さっくりと 「東の439地区の小さな村です」 答えていた。 その場で質問こそされなかったが、ビーデルもシャプナーも、を怪訝な顔をして見ていたから、同じ地区に住んでいるのに気付いている。 もういっそ、大仰に知り合いだと触れ回った方がいい気さえしていた。 「、早くしないと先生が来ちゃうわよ」 「う、うん。今行く」 先を歩くビーデルは、次の体育の授業のためにグラウンドに出るところだ。 なるようになる、と半ば諦めの気分でもグラウンドに出た。 体育の授業は、野球の試合の続きということになっていた。 教師が来る前の空き時間に、悟飯がに近づいて話しかける。 「さん、同じクラスですね」 今更ながら嬉しそうに言う悟飯。 は多少苦笑したが、今更だと割り切って考えることにした。 知られても構うものかと。 「別のクラスに割り当てられると思ってたんだけどね」 それを聞いていたのか、横からシャプナーが割り込んでくる。 「おいおい、こいつと知り合いか? 村の地区が一緒なのは分かったけどよ」 「うん。知り合い」 知り合い所か、一緒に生活してるんだけど――とはさすがに言えない。 イレーザがニヤニヤしている。 「な、なにイレーザ」 「もしかして悟飯くんとってさぁ」 「なに」 「実は付き合ってたりする?」 ――はい? 悟飯とはお互いの顔を見合わせた。 イレーザの言葉が頭の中に浸透すると、2人同時に赤くなり、 「「ち、違います!」」 同じ言葉を発した。 シャプナーは不機嫌真っ盛りの視線をイレーザに向けた。 「おいおい、馬鹿言うなよ。がこいつと付き合ってるなんて、冗談じゃないぜ。はオレのオンナになるんだからな」 ビーデルがシャプナーの頭をべちんと叩く。 「シャプナー。わたしはアンタとが付き合うなんて許さないわよ」 ぎろりと睨みつけるビーデルに、シャプナーは肩をすくめた。 こっそり悟飯がに問う。 「さんは、彼が好きなの?」 「ち、違うよ……。友達だもの。嫌いではないけど」 「ふうん……」 はぁ、と小さくため息をつく。 「あ、悟飯くん。力はちゃんと抜いてね。変に勘ぐられたくないんでしょ?」 「その力の抜き加減が難しいんだよなぁ。力一杯出す事ばかりしてたから」 丁度その時、体育教師がやって来た。 体育の授業は散々なものだった。 確かに悟飯は手を抜いてやっているのがには分かったが、残念ながら、その手の抜き加減がまだまだ甘い。 ですら、ジャンプする時は極力気をつけているぐらいだから、悟飯のレベルになると全然力を入れないで飛ぶぐらいで丁度いいはず。 しかし彼は軽く――飛んでしまった。 結果、8メートル程度上空に浮く事になったりして。 普通の人が受けたらヤバいはずの、シャプナーのデッドボールを顔面に受けてぴんぴんしていたり。 ……ビーデルが何かに気付くのも時間の問題だと、大きくため息をつく結果となってしまった。 帰り際。 悟飯がに近づいてきた。 「さん、もう帰るかい?」 は周囲に知人がいないことを確かめてから、悟飯に頷く。 「うん、帰る。……でも一緒じゃない方がいいと思うんだけど」 「どうして?」 彼は心底分からないという表情だ。 少し考えれば分かりそうなものなのだが、と悟飯が一緒にいることは日常化してしまって、あまりそういうことを考えないようになっているのだった。 「……ビーデルがなんか色々疑ってるし、窺ってるし。一緒に帰るのばれたら、詮索されるでしょ?」 「でも、一緒の村に住んでることになってるから平気じゃないかな」 爽やかに言われてしまうと、その後の言葉が出てこない。 どちらにしろ、密かに筋斗雲を呼ばねばならないのだから、気苦労は一緒だ。 割り切り、は頷いた。 「うん。じゃあ一緒に帰ろ。――でも私いざっていう時に跳躍できないんだから、悟飯くん助けてね」 「あははっ、さんを抱えて飛ぶなんて簡単ですから」 そらそうだ。 案の定、ビーデルに監視されていた悟飯は途中でを抱きかかえてビルの上に跳躍し、『金色の戦士』――つまり超サイヤ人になってもばれないような、根本的な工夫を必要として、そこから西の都へと行く事にした。 はの使っている筋斗雲を呼び出し、結局1人で家路へつくのだった。 2008・10・28 |