おベンキョ 2



「ようウリゴメ!」
「悟空、ウミガメだよ」
 カメハウスに付くなり早々に突っ込みを入れる
 浜辺でのんびりしていたウミガメに声をかけると、ウミガメは感激した様子で返事をした。
「あぁ悟空さん、お久しぶりです。さんも御元気そうで……」
「えへへ、ウミガメさんも元気そうで。ホントに久しぶり」
 とウミガメは、が修行中に会っただけで、ここ暫くは顔をあわせていなかった。
 結婚式も亀仙人だけ来て、ウミガメは留守番だったから。
 ウミガメはのんびりと首を下げた。
「ご結婚、おめでとうございます」
「ありがとう」
 にっこり笑う
 悟空はウミガメを覗き込んだ。
「なぁ、じっちゃんいるか?」
「ええ、ブルマさんとヤムチャさんもいらっしゃいますよ」
 クリリンはいること決定なので、聞く必要もなく。
 しかしブルマとヤムチャがいるのは、驚いた。
 ウミガメはのほほんと言葉を続ける。
「どうぞ中へ。皆さん喜びますよ」
「ああ! サンキューな!」
 悟空がを引っ張ってドアを開いた。
「じっちゃーーん!! オラが来たぞーー!」
 昔から変わらない入り方。
 しかし相談の内容が内容なだけに、少々気後れしてしまうだった。

 リビングには、亀仙人を筆頭に、ブルマ、ヤムチャ、クリリンが座っていた。
 各々ジュースを口にしながら、雑談している。
「あら! 孫くんに!? どうしたの、ビックリした」
 いきなりの登場に驚くブルマ。
 席を空け、間にと悟空を座らせる。
 座りながら、は困った顔をし――とりあえず、ブルマとヤムチャがここにいる理由を聞く。
「ブルマとヤムチャさんは、どうしてここに?」
 それにはクリリンが答えた。
「仙人さまがこの間エアカー壊しちゃって。それでブルマさんに直して、持ってきてもらったんだ」
「へえ、さすがブルマ」
 褒めるに、彼女が笑った。
「当然よ! うちの製品だし。……で? 二人ともどうしたの」
 いきなり聞かれ、は言い淀む。
 一同が不思議がる中、悟空がいつものあっけらかんとした調子で聞いた。
「なぁ、子供の作り方って知ってっか?」


ブブーーーーーーッ!!


 口に含んでいたジュースやら何やらを吹き出す四人。
 は思わずそれを避けた。
 悟空は自らがいかなる発言をしたかなど考えず、
「うわ!」
 まるで人事のように驚いている。
 クリリンがジュースまみれになったテーブルの上を焦りながら拭く。
 ブルマが隣にいるに聞いた。
 ちょっと声が震えているのは、気のせいではないだろう。
「ちょ、ちょっと……、もしかしてあんた達って初夜もまだなわけ!?」
「だ、だって……」
「結婚してもう一ヶ月近く経つってのに、何にもないわけ!!?」
「う……は、はい……」
 もじもじするに、ブルマは盛大なため息をついた。
 ヤムチャとクリリン、亀仙人は悟空の顔を見ながら、『信じられない』という表情をしている。
 きょとんとしている悟空。
 亀仙人が唸った。
「……確かに純粋なヤツじゃが、ここまでとは」
 クリリンが同じく頷く。
「まあ、悟空らしいっていえばらしいよな……」
 ヤムチャが深く息をつく。
「勿体無い」
「な、何だよ、どうしたんだみんな……」
 一人分かっていない悟空。
 呆れて物が言えないブルマは、の肩をポンと叩いた。
「あんた、苦労するわね……」
「それ自体は別に苦労でも何でもないんだけど……ちょっと色々あって、説明求められて、どう言っていいのか分かんなくって……それで来たの」
 どうしよう、と汗をたらしながら笑顔を向けるに亀仙人が唸った。
「……クリリン、ヤムチャ。ちょっと協力せい」
 疑問符を頭に浮かべる男二人に、亀仙人は言葉を続けた。
 ブルマとも顔を見合わせる。
「一夜漬けで悟空に教え込むんじゃ。全く、信じられんヤツじゃ」
「う、うーん……分かりました」
 クリリンとヤムチャが了解する。
 亀仙人はブルマとの方を向き、
「おぬし達は2階におれ。まあ、夕食を食べてからにしようかの」


 夕食を済ませて風呂に入った後、ブルマとは早々に2階に上がった。
 悟空がみんなの目の前でおやすみのキス≠し、は顔を赤くしながら2階に上った。
 男どもは、何でキスだけで我慢できるんだろう?≠ニ心底疑問だったようだが。

 2階に上がったは、布団を敷いてその上にゴロンと寝転がった。
 ベッドはブルマが使っている。
 水を飲み、ベッドの上でブルマが呟いた。
「まったく、孫くんてば……」
「あはは……ご迷惑かけます……」
 苦笑いする
 ブルマも苦笑いした。
「でもまあ、大変よね、も」
「何が?」
「孫くん物凄くタフだからねー、覚えたらアンタ参っちゃうかもよ?」
 明らかにニヤニヤ笑っているブルマに、頬を赤らめ、枕を抱っこする
「う……大丈夫だもん。多分。……好きで、一緒になったんだし……」
 小さく言葉を口にする。
 赤らむ顔は、人妻らしからず愛らしい。
 まだまだ新婚だからかもしれないけれど。
 ブルマは窓の外を見やり、ため息をついた。
「……孫くんて我慢強い方かしらねえ……」
「?」
 意味が分からないといった感じに小首を傾げるだった。



 その頃、1階ではいわゆるお勉強会が開かれていた。






2004・6・29