鍛錬中!・後編 「、気の使い方、覚えるといい。今のお前なら、きっと、すぐできる」 「キ??」 が不思議がっていると、神が悟空の耳元でボソボソッと、何かを呟いた。 すると彼はパッと立ち上がり、空に向かって何やら構えを取った。 「かめはめ波ぁぁっ!!」 手が光ったかと思うと、悟空が押し出すようにした手の平から、光――というより、閃光が、一直線に空へと昇って消えた。 「なっ…何? あれが、気??」 「亀仙人のじっちゃんの技だったんだぞ」 「あっ、なぁる…」 だから、かめはめ〜なのだろう。 あれが、気……。 今までいた地球では、気は一般的に見えないものとされていたが、こっちの世界では見えるらしい。 新たな発見だ。 しかし……アレが、使えるようになるのだろうか? 困っている風なを見て、ミスター・ポポが進言した。 「、イメージする。体の中を流れている気。それを感じる。そして、それを集めて、放つ」 「……う、うん、やってみる…一応」 彼女はすっと立ち上がると、自然に呼吸しながら、目を閉じた。 今まで向こうでやっていた、格闘技の中には、気の云々、というくだりがあった気がする。 腹――丹田(たんでん)とやらを基点とし、重心を安定させよ。 そこに集中すると、大きく強い気が練れるとか何とか。 流れを掴むべし。 気とは、意識の流れを意味する。 ……向こうとこちらの気の意味合いというのは、ちょっと違うかもしれないが。 楽に呼吸しながら、彼女は手を自然と胸の前に持ってきて、ボールをつかむような形で固定させていた。 悟空も、自分の修行を中断して、を見ている。 (全体の動作は繋がってる、流れを汲み取れ……) 息を吸い、吐く。 その度、体の中を、何らかの力が流れるイメージがつかめた。 あくまで自然に、その『流れ』を意識し、両手に集中させる。 指先と手のひらが、熱い。 がパッと目を開けると、己の手の中に光が集まっているのが見て取れた。 「…ん……ったぁっ!!」 力を込め、それを悟空のように空に打ち込む。 彼のそれより全く全然弱々しいが――彼女の気は閃光を発し、空へと昇って消えた。 「すっげえなー!」 「はぁっ……悟空のが、凄いって…」 体内の気を外に放出するのは、結構――いや、かなり体力と集中力の要ることらしい。 たった一度の、弱々しい気の放出だけで、少し息が上がってしまった。 でも、嬉しい。 額に汗しながら、ニコニコするに応ずるように、悟空も笑った。 ミスター・ポポが、それに釘を刺す。 「、それ、組み手しながらでも、できるようにする。大丈夫、気の流れ意識できる奴、すぐできるようになる」 「……あ、あははは……」 「、悟空と組み手してみる」 「え!?」 ミスター・ポポの言葉に、は思い切り素っ頓狂な声を上げてしまった。 今さっき、気というものの流れを体で感じ、気功波(しかも弱い)が撃てたばかりだというのに……いきなり実践、いや、組み手なんて大丈夫なのだろうか。 不安そうに悟空を見ると、彼は嬉しそうに笑って、 「でえじょうぶだ! 全力でやったりしねえよ」 とか、軽く言ってくれているし……。 悟空の全力を見た事はないが、亀仙人の元で修行していた時ですら、凄まじいと思ったのに…。 ミスター・ポポの方は、言葉を撤回する気は全くない様子で腕組みして、いつもの無表情…ではなく、ポーカーフェイスである。 「…悟空、手加減、よろしく」 ビシッ、と指を立てると、「分かってるさ〜」 とのお答えが。 分からないと、大変な事になるのだが。 「お願いします」 「たのんます」 手を合わせて手合い前の礼をし、それから、構えをとる。 も以前とは違い、多種多様な流派を経験してきたおかげか、格闘技の構えはサマになっていた。 色々なもののいいトコ取りをするうちに、亀仙流に近い形になっているというのは、本人の知らぬところだけれど。 「、気の流れ、意識する」 「う、うん…」 「じゃあ、いくぞっ!」 掛け声と共に、悟空がぽぉんと軽く地を蹴った――かと思うと、直ぐに拳が飛んできた。 「わ!!」 慌てて左手でそれを受け流し、くるんっと回転すると、反動で飛んできた彼の蹴りを、慌てながらガードする。 悟空は全然本気でやっていないのだろうが、受けたの方は、腕がジンジンした。 何度も応酬するものの、こっちの手はことごとく防がれてしまう。 彼にしてみたら、彼女の動きなんて、スローなのだろう。 ミスター・ポポが、「ちょっと休憩」と言ったため、二人はお辞儀をして、彼に呼ばれるまま前に立った。 「、気がバラバラ。悟空の動き、目で追う、よくない。気の流れつかみ、予測する、大事。集中し、気をコントロールする、これも大事」 「うん…」 「、腕、平気か? オラ一発モロに当てちまった」 一撃だけ、右腕に思い切りクリーンヒットしたのがあった。 手加減してくれているとはいえ、力の差からいうと、かなり問題がある。 右腕を見ると、真っ赤にはれた部位があった。 「わ、わりぃ…」 頭を掻き、困ったような顔をする悟空に、は 「大丈夫」 と答えた。 左手に意識を集中し、淡い緑色の光をまとわせ、赤身の部分をさすると、治癒能力で元の綺麗な腕に戻った。 「へぇー、、すっげぇなぁ」 「特技〜」 えへへと笑う彼女に、ミスター・ポポが不思議そうに言った。 「、気の扱い上手いのに、なぜ、実践ダメか」 「…え?……あ、そっか…」 言われて納得する。 治癒の力も、気の力も、集中法は同じらしい。 治癒の力は、内気功とも言われるし…。 それに、一連の行動を一つ一つ区切って考えるから、悟空の動きに慌ててしまうんだろう。 反射神経と動体視力だけは、向こうの先生のお墨付きだし――まあ、それがこちらで、どれだけ意味を持つかは不明だが。 「全身で空気の流れを感じる。、素質ある。大丈夫」 「うん、頑張る!」 ミスター・ポポの言葉に、彼女は笑って答えた。 何ともおっそろしい事に、は一週間もしないうちに、悟空にかなり付いていけるようになってしまった。 かめはめ波はバリアを使わないと防げないが、弱いかめはめ波なら、戦いながらでも撃てるまでに成長してしまっている。 これには、神も、ミスター・ポポも驚いたが、界王の娘である上、下地がかなり培われていたからできた事で。 とはいえ、悟空に勝てたためしはなかったが……。 専門用語とか、色々間違ってたりしてるかと。すみません…。 2003・11・7 |